もて耐 7時間本戦
雨だよ


雨、最悪だよ。  走ったこと無いもん。   先日までの天気はどこにいってしまったのだ。



朝からどしゃぶり。 慌ててブリジストンのブースに飛び込んでレインタイヤを購入。


さすがにこの雨じゃレイン無しじゃ自殺行為。  レインの実績はぶっちぎりでブリジストンだ。

朝のフリープラクティスがある事に気が付いたのが前日というていたらくぶり。

この時間を使って雨を攻略するしかない。 無理だ。  無理だって。

おいしい物を最後に取っておくタイプでは無いんですが、嫌なことはどんどん後回しにする正確なだけに

数周回って変えって来て、「どうせ決勝でイヤっつうほど走らなきゃいけないんだから」と開き直る。

まさひろさんも残り時間を回る。

DE耐などでは最初に規定量の燃料を入れたら、フリー走行もそのガソリンで走らないといけない為、

かなりゆっくり義務周回を回るのだが、今回のもて耐はフリーを走った後に給油してもOKと。

しかも最初の燃料コントロールは行わないとアナウンス。

という事は、最初に20リッターしか入れられないと思っていたが、23.05リッターど満タンまで入れて

スタートできるって事だ。 これはラッキー。


もう雨、雨、雨でスタート進行もなんだか「なあなあ」な感じで進み、グリッドに付く。


スタート前のブリーフィングがコース上で行われ、注意事項を聞く。

雨脚は緩む気配がない。

今回はローリングスタートに変更だ。路面状況的に危ないからだ。


ローリングスタートのウォーミングアップ走行とサイティングラップ走行と2周ゆっくりとペースカーの先導で

回り、いよいよスタートだな。と気合を入れる。

その時だ。  後でガシャ! カカカカカカッカカカッカカ!

あきらかにFRPの転がる音がするじゃないの。

ぱっと後を振り向くと一台転がってる。   どうやら前が見えなくて転倒したみたい。

私もバックストレートで前のバイクに付いていった時に、4台ほど先から前がまったく見えず

追突しそうになり、ジャックナイフしながら横に逃げたほど視界が悪い状況だった。

この転倒もわかる気がする。ちょっとペースカーがコーナーであまりにも速度を落とし過ぎていたと

感じた。  視界が悪いのであそこまで一気に落とされると後はどんどん危なくなってくる。

こんな視界の悪さだとローリングスタートよりも普通にル・マン式のほうが危なくないんじゃないかと

思ってしまう。  まあ主催者さんからすると最大限の安全策を考えての事だから

状況判断が多少ずれていてもあまり言えませんが。

転倒があったのでプラス1周回り、イヨイヨスタートだ!


気合が入りホームストレートを加速するが、前走者の上げる水しぶきでまったく、まったく前が見えない!

まったくだ。 うぉ!こええ!

こりゃ危ないと抑え気味に1コーナーに入る。   2コーナーから3コーナーにかけて

みんなフル加速するから俺もつられて「ぜんかーい」  

「ウヒュルルルルルル!」  え??  リヤタイヤがむなしく空転だ。  前に全く進まない。

タコメーターばっかり上るじゃないか。  気持ち的には「バックギア」に入ってしまった感じ。

一度スロットルを緩め、再び加速するもリヤタイヤの空転が止まらない。

なぜ??前のバイクは進むの??

回転を落としシフトアップをするとやっと前に進む事がわかった。  リッターマシンって怖いのね。


各コーナーのイン側には川が見えます。  酷い時は3本くらいの立派な川が見えます。

S字のあとのV字コーナー立ち上がりなんて、前のバイクの上げる水しぶきが茶色いし。コース脇の

泥が完全に流れてきてます。

シールドの曇りがかなり深刻になってきた。  もうほんとにピットに戻ってなんとかしようかと思うくらい。

でも今は決勝中、 戻って数十秒損するくらいなら、危なくないほどにシールドを開けて

すこしペースを落とそうと判断。  それで極力、他のバイクとバトルは避ける。 水しぶきで

全く見えないからだ。  フロントタイヤの巻き上げるしぶきがアンダーカウルに当たり、トップブリッジの

ステムナットの穴から噴水のように立ち上がってきてヘルメットの下からシャワー状態になっている。

シールドを開けて加速するが、直線の風圧に負けて、パタンって、閉じてしまう。

ブレーキングからスロットルオンの手前でシールドを開ける。  立ち上がって風圧でしまる。

再び開ける、閉まるの繰り返し。  なんかコーナーでほとんど片手で走ってるんですけどぉ・・・


もちろんサインボードなんて全く見えません。

俺今何周目??  直線でイン側に寄ってシールドを全開にして雨が目に当たって痛いのを我慢しながら

ボードを確認。 LAP10    え”?  もう30周くらいしちゃった気分だよ!


まじかよ。まだまだ序盤じゃないか。 この恐怖のままあと20周くらいは走らないといけないんだ。

あふれそうになる涙をこらえつつ我慢の展開。

心の中では「早く終わってぇ! そして終わったらもう絶対走らないんだぁ。ツナギ脱いじゃうもんね」

と叫ぶ。  ガス欠ランプが付いた! やっと終わりだ 

サインを確認するときっちり予定通り。  ナイス張さん。

ここでP3、P2、PPPのサインを確認してピットに戻る。


ここで給油。  5分間停止だ。  均さん、かねまっちゃんが入れてくれている。

ライダーに川の状況を伝えたいがそれよりなによりメット脱いでツナギを脱ぎたい気分のかられ

何も伝える間もなく、まさひろさんスタート。 笑

自分で川を調べて来てね。


雨大好き男、まさひろさんの事だ。問題ないだろ。  しっかりとペースを作りどんどんタイムを上げている。


ピット内では「あれ、リヤタイヤもたないよ。誰だよ7時間持っちゃうって言ったの」

まさひろさんがBSの人にどれくらい持ちますか?  「うーん7時間もっちゃうかもねぇ」


うそをつけ!



1時間少々でドロドロなんですけど・・・・・


これはやばい。とりあえずフロントはほとんど減ってないからリヤを変えよう。  リヤだけ買いに。



まさひろさんのペースが結構上がって来た。 雨の降り具合でタイムの上下が大きいので

振りが弱くなると「タイム上がるな」とピットでもわかるくらい。


私の走行での燃費が計算され、だいたいまさひろさんが何周くらいできるかわかった。

思ったよりも平均ラップが速いのでちょっと計算はずれるかもしれないがほぼ計算通りで帰ってきた。

次は第三ライダー 仁さんだ。  


仁さんももちろん雨なんて初走行、しかもレインタイヤも初。  この状況なのでタイムうんぬんって言う前に

がんばって転ばないでとしか祈れません。


しかし予想に反してかなりタイムを上げてきている。

この男ももしかして「雨好き??」  

うちのライダーは代々雨が好き。    幸い、仁さんの走行中が一番雨が止んだ。


「このままじゃ晴れちゃいそう・・やばい」とピット側も焦る。 なにせ雨での燃費で作戦を立ててしまった

以上、晴れてしまうとピットはパニックだ。  晴れなら晴れで最初から晴れてくれればいいのだが

雨のレースと決めていった以上は 降り続けて欲しい、わがままなお願い。


仁さん後半、また雨が落ちてきた。 朝とは違った意見 「良かったぁ 降ってきたぁ



仁さんの交代時間になってきた。  フューエルランプが付いてから回れる周回もだいたいわかっていたので

この時点でピット側にサインが無いって事は、計算通りか、計算よりも良い方向でしかない。



そして無事に仁さんがピットイン。 この雨の中良くサインを見た。笑


次はナイスな46才、長谷川さん。 この年齢になってもこんなレースをやってみたい物だ。

と、交代前に タイヤ交換をする。 フロントの消耗は少ないのでリヤだけだ。

メカのしげに頼んで交換。  


時間はあるので慌てず作業。 残り時間で給油だ。 



給油もかなりしつこく最後の1滴まで入れます。


今回は20リッターの給油で丸々は入らなかったので、少しあまりました。

マシンを横に何度も何度も振って気泡を抜いて入れます。 「ガソリン一滴は血の一滴だ!」



計算上ではこの給油で最後となるはずだ。 全てここまで計算通りで来ている。

極端に雨が止んだりしない限り間違いない。



ここで最後のライダー 長谷川さんに交代。


長谷川さんも雨初。 レインタイヤも初。 何せドライでも2時間乗ってない状態だ。

不安はあるが、このおじさん、意外と本番に強い心臓の持ち主 ここは期待したい所だ。


さて、仁さん。 良い走りだった。 雨の中、怖い中かなりがんばった。 これで色々な面で自信も付いた

のでは無かろうか。 レイン楽しいとか言っちゃってるし。


雨脚はまったく緩む気配がないので心配はない。 このままいけば7時間3給油でいける。


モニター上のピット回数は3では無く4になっている。これはまさひろさんが給油ランプが付いてしまい

戻ってきた時のものだ。 タンクの給油ランプが付いて何周できるっていうのが今日わかったのだ。


すぐにコースに戻っていったのでロスはほとんどない。


たんたんと走行を重ねるが、中々ペースが上がってこない。

予定では1時間半近く走る予定だ。  


順位は落ちてきてる。 なにせDE耐マシンよりもペースが遅い。

初めての雨とは言えちょときつい。

最初のチームの取り決めで上位に行く為なら、各ライダーある程度の事は我慢する。


もちろん速いタイムを出しても異常に燃費が悪ければペース走行もやむなし。

ペースは遅いが燃費が良いので一人が走る時間が多くなる可能性も。

計算上、周回数が1周でも多く回れるように考えられる作戦を立て、実行しよう。

そこにやさしさはあんまり入れない。  今回のレースはそんなテーマだ。


もう長谷川さんも50分くらい連続で走っている。


まさひろさんのタイムを比べ、残り時間を交代すると、プラスがどれくらいになるか張さんに計算を頼む。

それとまさひろさんが走った時の燃費で最後まで持つかどうか。


ピコピコ。   計算上、このまま長谷川さんが走るきるより、ピットインロスを考えてもまさひろさんが

走ったほうが1周以上多く回れる。 と。

後3周、様子を見よう。 タイム的上がってくれば、まさひろさんに交代しなくても良い。


結局、タイムは上がらなかった。   ここで交代サイン。



ピットインのサインをなんとか見て、戻ってきた。  自分的にはまだまだ全然速く走れるが

前が全く見えないとの事、 下からの水の巻き込みがヘルメットのあご部からどんどん入って

きて見えない・・・・ 私もそうでした。


かなり危険な状況だったので交代したのは逆に良かった。


まさひろさんは鼻の所にガムテープを貼りまくっていて対策をしている。


残りはあとわずか。 





交代により、ペースが上がっては来ている物のどうなるかはわからない。 交代後5周はペース走行を指示

した。 燃費的にこの「5周」 を抑えないと完走できないからだ。


予想よりも若干速いペースで走っているのでピットは不安で一杯。


問題の6周目にさしかかった。  これで今のペースが全開なのかペース走行だったのかわかる。


タイム計測・・・・  「あんまり上がってないよぉ?」


うん?  ペース走行じゃない? じゃあサイン無視?  ???



そこからずっとペースは変わらず。   いよいよチェッカーが近くなってきた。



このまま完走したい。 ライダーはまさひろさん。 安心してられる。 なにせ「タイムを出してこい!」の


期待は裏切るくせに、「こけないでね」の期待にはしっかり答えてくれるライダーだ。


チェッカーが用意された。 



昨年の順位には届かないので微妙にほろ苦い気分だが、7時間の豪雨の中チェッカーを受けれると

いうのはまた格別だ。


ゴール。   ここで7時間の戦いが終わった。


最初から飛ばしていって、最後の5周でペース走行をするつもりだったライダーだったが


最後まで同じペースだった。笑


でも無事にゴールできたんだ。 良かった。   結局 26位。 順位的には普通ですが

この経験は今後に繋がる良いものだったと思います。


何せレースでもない限り雨なんて走らないサボり屋さんですから。



休みの関係などでお客さんにも大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

こういったレース参戦は色々な知識、技術になって色々な面でフィードバック出来る事と思いますので

これからも出来る限り参戦していきたいと思います。



たくさんの方に応援、お手伝いして頂き、感謝いたします。 ありがとうございました。





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